第101回

句評     村野 太虚
花冷えや切株悲し都会(まち)の駅  露徒
  <ヴァレリーの写真を一時間ほど眺めていた。なんという悲しい貌をした人だろう。切株、接ぎ穂・・・太宰治>
  切株をみるのは傷ましい。都会の駅そばの切株はことに。

地虫出づ
  地中に冬眠していた虫が春暖にさそわれ穴をでてくることをいう。c 

蟇出づる奈良大仏のおん前に  三虚
冷や酒のことに美味しや地虫出ず  露徒
  冷酒のおいしくなったころ地虫も這い出てきた。
出てみたが風は冷めたき地虫かな  文福
  タイミングを間違えたかな、でもまあひっこまずにやってみよう。世間の風は冷たいなあ。
昼すぎの縁側の下地虫出ず  秋水
  秋水さんは<昼過ぎ>が好き
地虫出づ十年前の旅行本  特許
ナウマンの辿りし谷や遠桜  穭
  ナウマン象で有名なナウマン博士が山梨の韮崎で地質調査を行った時、あの大地溝帯“フォッサマグナ”を発見。韮崎駅の眼下の谷にそれを思い、今遠くに桜が咲いている。彼が発見したナウマン象は東京新宿、明治神宮あたりにもいた65万年前の江戸っ子象なんですね。江戸っ子らしく小柄で牙の長いヤツでした。
カタカナの花を濡らして春の雪  左近
  フリージア とかエリカとか何だとかかんだとか。カタカナの花。とにかくカタカナの花に・・・・。
花冷えや秘めた想いは散る散らず  文福
  秘めた想いはゆきつもどりつ散りもせず花冷えの下ゆききして、、、花のころの女心。

秀句三選

入選七句

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