第37回 2011年10月

句評
今月はまず<金木犀>の2句
金木犀風の流れを教えをり  文福
<教えをり>と擬人法を奏功させ老練。少ない言葉でさわやかに芳香を表現して迫力。
璃江下(お)り新妻つつむ金木犀  無冠亭
下りでなく(お)りの状況がややのみこめないが、奇岩怪峰の桂林観光での新妻とのしあわせな状況は理解できる。
<月>の句も7句ありました。
  •  稲を刈る老夫婦の月あかり  左近
       人も枯れ月が美しい。
  •  明月はうさぎの宴の月明り  些事
       玉兎はおのれを焼く火、と古説にあるが宴としたのはたのしい。
  •  縁側で団子頬張る月の宴  大豆
       食欲の月。
  •  割増しにすてきに見せる月明り  茜
       割増し、はひと工夫
  •  満月や狼になれ宵テラス  たつを
       狼男は満月にオオカミとなる。
  •  秋の風ゆれる水面にふたご月  無冠亭
       <ふたご月>はやさしい。
<月>の名句です。
 秋もはやはらつく雨に月の形(なり) 芭蕉
 子規逝くや十七日の月明に  虚子
 月の出やほしいままなる草の丈 晃湖
 門を出て道を曲がれば盆の月  丈草
 十五夜や母の薬の酒二合  木歩
 月出でてしばらく沼の暗さかな  予志
 夕月夜乙女(みやらび)の歯の波寄する  欣一

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