俳句にチャレンジ＆nbsp;第54回

第54回 2013年2月

句評　　　　　村野　太虚

知らぬまに手をかざしをり君子蘭　　櫓
君子蘭→花ことばは高貴、誠実。南アフリカ原産。明治期に日本に入る。葉肉がぶあつい。花は豪華でうつくしく、君子のように気品がある。背丈、４０センチ～７０センチもある。朱赤、黄色。朱赤の花の炎につい手をかざしたくなる。素材の選択がいい。

梅８句
　「冬季より咲くものにて候へば、もちろん初春につかまつり候、さりながら二月でも残るように仕（つかまつり）候。＜至宝抄。里村紹巴＞

　　啓蟄や波止場はなるる豪華船　　五郎
　　原句は＜虫出でて波止場はなるる豪華船＞。大ぜいの虫がでてきて豪華船に帽子をふっている啓蟄がネライであったらしいがネライ過ぎ。啓蟄でよい。

　　北風や少女の頬で跳ね返り　　文福
　　躍動する生命賛歌。少女の耀く頬が可愛くまばゆい。

秀句三選

一人立ち一人入りて春炬燵　　雅柳
　冬の炬燵だったら＜猫は炬燵でまるくなる♪＞猫だけでなく誰もが炬燵にしがみついて離れない。春の炬燵はなにやらそわそわと出たり入ったりする。なにか用事をちょっとすましては又おしゃべりに戻る。忘れた用事をおもいだしたといってはては出てゆく。花がひらいたようだ見てこようといっては出てゆく。
雛納めしばし夫婦の会話かな　　小穏
　海外駐在の娘夫婦から手紙が届いた。＜おかわりありませんか、巴里の梅も綺麗に咲きました。＞娘の幼いときからの雛祭り。娘がいなくなっても夫婦でつづけている。今年も雛まつりを白酒菱餅で祝った。雛のかおも紙に丁寧につつんであげて櫃に収めた。娘たちのいない夫婦だけの雛祭り。ほっとして幸せだがすこし淋しい。
ふきのとうあなたは味噌か天ぷらか　　大福
　蕗の薹、薄緑色の卵のような花芽を摘んできた。花芽のひらかぬうちの早春のおくりものを祝いましょう。あなたは蕗味曾がおすき？香ばしくてほろにがい天ぷらにする？

入選七句

エクステリア&ガーデン