オーニングツアー随行記
週刊エクステリア編集長 金井 徹

 昨年の10月14日から8日間(実質7日間)、日本オーニング協会主催の企画旅行「欧州オーニング視察ツアー」に参加した。総勢17名である。視察内容は、一応オーニング関連と銘うってはいるものの、イギリス・ロンドン郊外の庭と住宅、さらにそれに設置されたオーニングを見る事、フランスの、ディクソン社(アクリル生地のメーカー)の訪問、フランスパリ郊外の、ポルト・ド・ベルサイユの見本市会場で開催された、オーニング・シャッター、門扉見本市(EQUIP・BAIE)を見学することなど結構もりだくさんな内容である。
 もちろん私は広くエクステリア全般を見る中で、ヨーロッパと日本のエクステリアの相違、文化、ものの考え方の相違、あるいは共通点をのぞいて、今後の日本のエクステリアをさぐるうえでの参考にしたいという思いで飛びたった。
 限られた日数の中で、果して何を読者に持ち帰ることができるか、できるだけ多くの具体例を写真でお見せしたい。そんな気持ちでスタートしたツアーであった。以下は、私の感じた、ヨーロッパ見て歩きの随行記である。

プライベートガーデン ローバートソン邸

 オーニングツアーの中にプライベートガーデンの見学を組み入れたのは、テラスオーニングが庭の中でどう位置ずけされるのかという点を見る為であった。
 最初に訪れたのは、ロンドン郊外のカレンス・グリーンにある、ロバートソン夫妻の住宅とその庭である。石造りの外構、階段を数段上がると芝の中に続く、飛び石、そして玄関を入って右にアール状の出窓のある応接室、その窓から見る景色の素晴らしいこと。紅葉した木々と緑のじゅうたん、反対側にも緑のじゅうたんが広がる。一見人為的には見えない自然の中に美しく建つ、小さなお城という感じだ。

 しかし、回りの草々、木々はちゃんと計算されつくされている。ことに壁沿いには、木、草花が意図的に入されており、11月下旬の寒さの中で入口には(西側)ケマン草のピンクが、東側には小葉の低木が配され、その中には、桜の一種と思われる花がいくつか可憐な姿を開かせていた。レンガ造りに白と薄いブルーのストライプのオーニング。南側にも窓用の簡易オーニングがつけられている。寝室が8つもあるといったゆったりとしたスペース。庭奥には何とゴルフ場が隣接しているのだ。

プライベートガーデン ローバートソン邸A

 前回は、ロバートソン邸の外壁を中心い見ていただいた。御主人は、以前宮殿で働かれていたとかで、まさに英国王室への想いがそのまま住まいに表われているといったたたずまいだ。
 エリザベス女王をグレートマザーと呼ぶ御夫妻には、その立ち居るふるまいにある種の気品を感じてしまう。玄関ドアを開けるまでの石塀、石畳、芝生の色彩は見事だし、石塀、石畳はレンガ造りの住宅にフィットし、本当に風格を感じさせてくれる。きっちりと刈り込まれた木々と自然に植えられたかのような木々のバランスも、それなりに考えつくされている。

 生垣から少し離されて植えられている芝のグリーンベルトも見事だ。さりげなく置かれているプランターもそれなりの味を出している。奥にはバラに囲まれた藤棚調のプロムナード、青空に赤い実が美しい。テニスコート横のバラ園の中には自動灌水器が設置されていた。
 ひっそりと、しかし、内には独特の華やかさが。自然を生かす、自然と共生するぜいたくなつくりに思わずため息が出る。もちろんイギリスではおなじみの鳥寄せかごが、風に微かにゆれていた。緑の中の白(石)、そしてレンガ色。イギリスのエクステリアはそれが全てだというように感じる。