リゾート地ドーヴィルに入る
 ノール地方のリールから南西へ。デイクソン社で予想以上の時間を経過したため、次の目的地、ドーウィルでの夕食に間に合わないという破目になってしまった。折りしも11月中旬、冬に向って一目散の北フランスとあって夜は流石に冷える。小さなレストランを探しながらのバス旅行となった。しかし、これが適当な食事場所が仲々見つからない。地方にゆくと何処でも同じだと思った。それでも何とか、大型ドライブインで空腹を満たすことができた。ホテルに到着したのは、10時近かった様に思う。それでも一行は元気、その後カジノへ直行した方も...
ホテルノルマンジー
 明けて17日、3日目の朝は、少々肌寒いといった感じだが、リゾート地、「ドーウィル」の美しさを堪能することが出来た。南ノルマンジーに位置する「ドーウィル」は、海岸沿いに設置されたすのこを敷いた木組の人工遊歩道「プランシュ」があることで知られる、世界的に有名なリゾート地である。また、泊まった「ホテルノルマンジー」はそのインテリア、部屋の調度品までの美しさは、口では表現できない。是非一度とお勧めするしかない。
背景にはあの延々と続く海岸線が広がる。ホテル前の公園が整備されて美しい。丁度来春へ向けての花壇の植え付け準備が行われていた。槐(えんじゅ)と思われる樹木によりそうようにバラが植えられていた。

樹木の横にはバラが          ノルマンジー海岸


ドーヴィル  ホテルノルマンジー

 ホテルの宣伝をするみたいで恐縮だが、「ホテルノルマンジー」の内部は本当に素晴らしい。外部の格調もそうだが、全体が泊まり客をやさしく包み込む気品と格調にあふれている。いたるところに目につくシャンデリア、そして足元でそっと微笑みかける絨毯。いかにもアンティークな感じを与える木製のインテリア。そして、部屋、レストラン等、その場に合わせたカーテンは見事というしかない。「エクステリアに繊維を」というのが、これからのテーマの一つだが、やはり、これだけのやすらぎを与えるのは「布」の力なのだとつくづく思う。

寝室(左) 廊下(中) レストラン(右)

 朝のレストランがまた美しい。シンメトリーの中庭、中庭を囲う城を思わせる建物の外観、美しきクラシックという表現がピッタリだ。もうこれは是非一度泊まるしかない。寝るのが惜しい気持ちにさせてくれる。

朝、レストランから庭を望む

ドーヴィルの街を歩く  @

 朝6時、小鳥のさえずりと共に清々しい朝を迎えた。ドーウィルの街を少しウォッチングして見ることにした。やはりリゾート地だけあって、建物の外観は小さな城を思わせるものが多い。緑、庭木の配しかにも意外にスッキリとしている。

 外構についていえば、フェンスは木製、門扉は木製ないしスチールというパターンが多かった。色は、白が多く、海辺のリゾート地ならではだ。


白のフェンスがひきたつ          木製フェンスが良く合う
バラアーチ、白い門扉、緑の芝生・・・

 壁面は、ただレンガ、石調というより、これらを組み合わせたものが見受けられた。日本のように、ブロックや石で囲うといった風潮はなく、建物を見せる、あるいは引き立つ外構という点に主眼が置かれているように思える。
 庭の内部もさほど手間のかからない自然なものシンプルなデザインというものが多かった。常時そこに住んでいるとは限らないかも知れない。ただ、リゾート地といってもここは、一つの街、どこかの山の中ではない。ある種の暖かさがある。



ドーヴィルの街を歩く  A
 外構が主張していない          城を思わせる建物が多い
 静かなドウーィルの街を歩きながら、外構と緑と建物のバランスの美しさを感じる心地よさ。写真で見られるとおり、日本の様に外構、外壁が大きな主張をしていない。かといって、歩道を歩いて見るとしっかりとしたガード機能を持っている。前回にも述べたように白を生かしながら、レンガ色でほどよくバランスを取るというきわめてシンプルな外回りが見られる。土留め部分を天然石あるいは天然石調コンクリートを使用、その上にレンガの笠木、そして木製のフェンスといったスタイルが圧倒的。
しっかりガード               白いバルコニー
 建物の角地にレンガを配したり、開口部、バルコニー部分にもいかにもヨーロッパ風というデザインだ。逆に舗装については、それほどデザイン面で凝るといった風潮は見られない。建物は、床部分が高く、日本の家屋より大型。多分地下室が完備されているからであろう。そしてその中には香り高いワインが静かに眠っているに違いない。


ドーヴィルの街を歩く  B
市の中心部にある市庁舎
 住宅街からはずれて、店舗の連なるメインストリートを歩いてみた。街の中央に位置する市庁舎は、黄色や赤のポットマムで飾られ美しい。これが市庁舎だとは思えないほど、小ぢんまりとしているが、全体のバランスは見事だ。思わず入ってゆきたくなる。
緑のバランスが心地よい
レストランの中央は花のベルトが
 その前にある花の植込み、色を巧みに変化させている大型平板、通りも道幅と建物の高さがほどよくマッチしている。
 全体としていえるのは建物を花で生かすということである。レストラン、ホテルはその建物全体に合うようにベランダ部分に巧みに花が配されている。建物自体は、屋根部分に変化を出し、白壁に木を生かしたもの、フェンスも踏み入らないことを目的とせず、アクセサリーとしての使い方がうまい。
建物の高さがほどよい
 舗装材は、自然石を使用しているのが目についた。これは、人工的なものを意識的に抑え、緑、草花とのマッチングを重視しているからであろう。
 はずれの広場には簡易青空市がたち、果物、衣服などが並べられ、南フランスの静かな生活空間の一部となっている。